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医療関連の記事を保健師が書いていくブログ

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ヒト乳頭腫ウイルス感染症(ウイルス性疣贅)

首イボ 感染を防ぐポイントは?

1感染するイボと感染しないイボ

1.1 感染するイボについて

感染するイボは一体どのようなものでしょうか。これは『ヒト乳頭腫ウイルス感染症(ウイルス性疣贅)』といいます。ヒト乳頭腫ウイルス human papilloma virus (HPV)は75以上の遺伝子型に分類されています。ウイルスは細菌と異なり遺伝子をもっています。その遺伝子の型が75以上あり、そのうち 1型 2型 27型 57型がウイルス性疣贅よって皮膚や粘膜にイボを発症させるものといわれています。ウイルスですから発症までには時間がかかります(潜伏期間といいます)し、ウイルスを保持した方が全て発症するわけではありません。潜伏期間は六ヶ月から1年、発症する確率は10〜20%とするデータもあります。
そしてウイルス性疣贅はいくつかの病型に分類されています。
そのなかで多いものをご説明いたします。
① 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
疣贅のなかで最も頻度が高く、首だけではなく手、指、足の裏にも良く発症します。はじめは表面が滑らかでひらたくドーム状ですが、大きくなると表面がザラザラして灰白色になります。またそのイボが近い場所で多くできると、一つの大きなイボになることがあります。これを融合といいます。
首にできるものは、指状、糸状、鶏冠状でみられることが多いのが特徴です。皮膚科の専門医ならば目視で診断をつけられます。

② 青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいせいぜい)
この病型は顔などの剃毛(カミソリなどの刺激)が原因ではないかといわれています。特に女性の発病が多いのは全身の剃毛から広がっていると考えています。女性の発病が男性よりも2〜3倍多いためです。また引っ掻いたりすることで自家摂取(自分から自分に感染させてしまうこと、最初にできたイボが引っ掻いたりこすったことによりウイルスが移動し皮膚に侵入して発病する)してしまい、一本の線上にイボが出来ることがあります。

③尖圭(せんけい)コンジローム
昨今、human papilloma virusu による子宮頸がんの話題がよくでていますが、首などにできるイボのhuman papillma virus とは型が違うので心配はありません。子宮頸がんと関連があると考えられているのは16型とされています。

1.2 感染しないイボについて

イボには感染しないものもあります。脂漏性角化症(老人性イボ、老人性疣贅)といいます。これはスキンダックともよばれています。
これは皮膚の良性の腫瘍とされています。そのまま何も治療をしなくとも医学的には問題はありませんが(命に関わることはありません)、発症している部位や大きさにより見た目で気になったりすることも多いため皮膚科の専門医に受診するかたも多いようです。そのイボが一体何であるのか、治療が必要なものかどうかは専門家でなければ判断できませんので、まずは受診をして判断してもらうことが肝要です。

2 ウイルス性のイボについて

2.1 ウイルス性のイボに感染してしまうのはなぜか

インフルエンザを例にあげるとわかりやすいかもしれません。インフルエンザもウイルスをもち、人から人へと感染します。ヒト乳頭腫ウイルス human papilloma virus (HPV)は動物から人へうつることはありません。インフルエンザウイルスは飛沫感染など、その感染経路はわかりやすいため予防に対処できます。しかしながら、ヒト乳頭腫ウイルス human papilloma virus (HPV)では、その感染経路は未だはっきりとはされていないようです。わかっていることは、足や手指にできたほんの小さな傷から皮膚に侵入し、潜伏期間(6ヶ月から1年)を経て10%~20%の確率で発症するということです。
多いのは靴下を履かずに靴を履いたり裸足で歩いたりして、小さな傷ができてしまい、放置したままで気がつかないうちに感染していることがあります。
そして感染に気がつかず、足を触った手で顔や『首』を触ったとします。触った場所が乾燥してカサカサしていたり、小さな傷があったりするとそこからウイルスが侵入して感染してしまうのです。
また感染しやすい場所のひとつとして考えられているのは、公共のプール、公共の入浴場です。またタオルの使い回しなども原因といわれています。

2.2皮膚の構造はどのようになっているのか

皮膚は上から、表皮、真皮、皮下組織と重なって出来ています。イボは表皮の上に盛り上がり、見えない真皮まで深く広がります。皮下組織まで入り込むことはないようです。
ですから、皮膚の表面にできた小さな傷からウイルスが入り、皮膚の表層で発症するため、日常生活でよく使う体の部位、見えやすい体の部位にできやすくなります。

3 首イボに感染しないために、感染の広がりを防ぐために

3.1 予防するためにできることは何か?

まず予防するためには『ウイルスは人から人へ感染る、ウイルスは自分から自分に移動する』と、自覚することが大切です。
過剰に心配する必要はありませんが、日常生活を送るなかで感染の危険があるということを意識してください。
では具体的なポイントを挙げてまいります。

①免疫力を高める
これはどのような疾患であっても共通していえることなのですが、免疫力を高めることで身体へのウイルスの侵入を防ぎことができます。免疫力を高めることで多少の侵入をはじきかえす強さを得ます。免疫力を高めるためには、バランスの良い食事ととること、睡眠、休養をとること、適度な運動をすること、などがあげられます。
免疫力が下がると逆にウイルスが侵入し感染して発症します。女性で多いのは過剰のダイエットによる栄養バランスの偏りよる免疫力低下です。また仕事や家庭、人間関係によるストレス、寝不足なども免疫力を下げてしまう原因となります。

② 手や手指に小さな傷を作らないようにする、出来てしまっても放置しない
夏の時期は裸足でサンダルや靴を履いている方が多いものです。感染を防ぐためには靴下やストッキングなどを履いて足を保護していただきたいと思います。しかしながらそうもいかない場合も多いので、外出先から帰ったら入浴とは別に帰宅してすぐに足を洗うだけでもとても有効です。
お仕事の種類、内容によっては足や指先に怪我をしやすいかたも多いことと思います。そこにウイルスが感染して傷がある首などを触ると、首に感染してイボができることになります。
ですから日頃から保湿クリームなど保護できるものを使い指先、足先をケアすることが有効となります。小さな傷だから、出血もしていないし、、、と、放置するのはやめましょう。

③ 公共のプール、大浴場にいくときには気をつける
まず、体力が落ちているとき、体調が優れないとき、指先や足先など身体に引っ掻き傷などがあるという場合には控えた方が良いかと思います。それでも生活をしていれば、いろいろな事情がありいかなければならないという場合もあるかと思います。その場合には、体を清潔にしてから入水、或いは入浴する、傷をかいて広げないようにする、出る前には足は綺麗に再度洗う、共用のマットは使わない、タオルは共用のしない、など気をつけていただきたいと思います。

④ 乾燥を防ぐ、保湿をする
乾燥をすると皮膚がカサカサして、ちょっと擦るだけでも小さな傷ができてしまいます。肉眼で見えないくらいの傷であってもウイルスは侵入します。顔のケアは大切にしっかりとしても、首(デコルテ)ケアはあまりしないかたもいらっしゃるようです。首のイボを防ぐには日頃からの保湿ケアが大切です。乾燥しないようにしっかりとクリームなどを塗布しケアをすることでイボの発病を防ぐことがあります。また女性はネックレスやスカーフなど、装飾品で首の周りを刺激することが多いかと思われます。刺激して傷を作らないように気をつけるとともに、傷の有無やイボが出来ていないかなど確認するようにしましょう。


4 最後に(まとめ)
これらは日常生活取り入れられる簡単なケアだと思います。
残念ながらヒト乳頭腫ウイルス human papilloma virus (HPV)には有効なワクチンはありません。そして「正常を保っている皮膚には感染しない」とも言われています。潤いのある健康な肌を保ち、ウイルスを跳ね返す免疫力を高めておくことが感染を防ぐためにとても大切なこととなります。

またウイルス性のイボは一度できてしまうと完全に治癒するまでに時間も治療代も多くかかります。皮膚科専門医によりその治療法は様々ですが、ミリ単位で治療費は異なり数万円以上の治療代がかかります。残念ながら保険適用外の疾患であるためです。

また一度完治したと思っても、ウイルスが潜伏していると何らかのきっかけで再発します。
そのきっかけは、免疫力低下であったり加齢により皮膚が乾燥しやすくなったりするためです。
イボは見た目ではなんの種類のイボか、放置してもよいのか、自分で処置できるものか、自分で処置してはいけないものか、などの判断は専門家でなければできません。またウイルス性のイボは痒みや痛みはありません。首の周りを触っていて何か引っかかる、などの違和感があったらそれはイボかもしれません。その場合には引っ掻いたりむやみに触ったりはせず、皮膚科受診をおすすめいたします。もし治療が必要だったとしても早期に治療を開始できれば、治療にかかる時間も費用も少なくてすみます。
また、アトピー性皮膚炎でステロイドを使用している方はさらに注意が必要です。ウイルス性のイボにステイロイドは禁忌です。その場合には早急に主治医にご相談なさってください。