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医療関連の記事を保健師が書いていくブログ

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首イボを液体窒素で治療する



首のイボを液体窒素で治療する方法とその効果について

1 首のイボの種類について

首に出来るイボといってもその種類はいろいろあります。形状も様々ですし、感染力のあるウイルス性のものから、加齢によるものなど様々です。まずはどのような種類があるのか、簡単にご説明いたします。

1-1 脂漏性角化症

脂漏性角化症は老人性イボ、あるいは老人性疣贅(ロウジンセイユウゼイ)といいます。疣贅(ユウゼイ)とは医療での専門用語です。イボのことを医療用専門用語では疣贅といいます。また、脂漏性角化症は、スキンタッグともいわれています。「スキンタッグ」という言葉の方が聞いたことがあるという方も多いかと思います。
脂漏性角化症とは角質が積み重なって、厚みを増してしまっている状態のことです。健康な肌ならば、入浴や洗顔などで特別なことをしなくても角質は表面から自然に剥がれて落ちていきます。剥がれ落ちずに溜まってきてしまうのがスキンダックであり、最初は肌色で目立つことはありませんが、だんだんと灰白色になります。そして紫外線をあびたり、過度にこすったりすると茶色になって目立つようになります。

1-2 尋常性疣贅(ジンジョウセイユウゼイ)

疣贅(ユウゼイ)のなかでも最も頻度が高くウイルス(ヒトパピローマウイルス)性のイボです。ウイルスですので、感染力があります。人から人へうつります。また、自分の体の異なる場所にイボをうつしてしまうこともあります。
首だけではなく、手、指、足の裏にも発症します。首にできるものは、指状、糸状、鶏冠状で見られることが多いのが特徴です。

1-3 青年性扁平疣贅(セイネンセイヘンペイ)
このイボもウイルス(ヒトパピローマウイルス)性のイボです。このイボは男性よりも女性のほうが2~3倍多いとされています。脚などを剃毛したカミソリで首や顔周りを剃毛することで、全身に広がるのではないか、とも考えられています。その多くは顔に出来ます。引っ掻いた跡に、一本の線上にイボができることがあります。

2 液体窒素について
液体窒素と聞いて、痛い、怖い、と思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。そもそも液体窒素とはなにか、そして治療に使われる理由についてご説明いたします。

2-1 液体窒素とは何か?
窒素は空気中に78%含まれています。そして液体窒素とは冷却して液状化させた窒素のことです。液化した窒素の温度は-195.8℃です。超低温ですので冷却材等に使用される液体です。医療の分野では血液や細胞の凍結保存のために使われます。また皮膚に直接付着すると凍傷となり、免疫反応があらわれます。

2-2 イボの治療に液体窒素が使われる理由とは何か?

意外かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、アトピー性皮膚炎の治療にも液体窒素が使われることがあります。その理由は、皮膚に敢えて炎症を起こさせて、皮膚の治癒反応を活性化させるためのようです。つまり何らかの理由で病変した皮膚組織を急激に冷やし低温やけどをさせることで、皮膚の表面の異常組織を壊死させてしまうのです。
またこの治療ですと保険が適応されるため、治療費が抑えられるというメリットがあります。しかしながら、複数回の治療が必要となることと、治療中と治療後に激しい痛みが伴います。

3 液体窒素による治療方法について

液体窒素は先ほどもご説明した通り、皮膚組織を凍結、壊死させてイボを取る治療方法です。低温やけどをおこさせて異常組織を破壊し、カサブタにしてその下から新しい組織を上がらせることでイボを除去します。
この液体窒素が激しい痛みを伴う辛い治療でありながらも、継続して行われているのは保険が適用されて治療費がおさえられるということだけではなく、麻酔を使わなくても良い治療法のため手軽に出来るという理由があるようです。
この「痛み」についての解釈は十人十色なのかもしれません。
特に医療の専門職種ですと、専門の分野によって、また職種内容によっても「痛み」に対する意識は様々です。
とある脳神経外科の医師は『痛みでは死なない』というのがくちぐせでした。ともすると、ネガティヴで乱暴な言葉に聞こえますが、その方の本当に伝えたいことは、脳神経外科での手術後は疼痛、発熱がつきものであり、術後の経過を判断する大切な情報の一つに『あたまの痛み』があるのことでした。ですから患者さんにはとても辛いことですが、どのように痛むのか、強い痛みなのかどうか、どのくらい続いているのか、等とても大切な情報になるため、一定期間は痛み止めを使用してはいけない、ということもあるのです。
この液体窒素を使った治療は麻酔を不要とするため、かなりの「痛み」が伴います(小さなお子さんの場合には大抵押さえつけて治療をします)。また一回の治療で終わることはほとんどありませんので、イボの種類や大きさにより繰り返し治療を行います。イボを液体窒素でやいた後にも、痛みは継続します。また水疱が出来ることもあるので、日常生活に負荷を及ぼす場合にはこまめに通院をして水疱の処置をしてもらうなどの必要があります。そのため完全に治癒するまでには数ヶ月くらいの時間がかかるものとなります。
また、首のイボが悪性の腫瘍かどうかの判断に悩む場合には、病理検査が必要となりますので、液体窒素やレーザーによる治療は行いません。正しい診断のために外科的な手術をすることになります。

3-1 治療方法について

液体窒素の「スプレー式」と「綿球法」があるそうです。
この「スプレー式」は魔法瓶のような容れ物(スプレーボトル)に液体窒素が入っており、液体窒素をイボに吹き付けて治療するものです。しかしながらこれは日本での普及率は低く、一割程度だそうです。海外の多くの国ではほとんどがスプレー式のようです。
日本では殆どがこの「綿球法」の治療方法がとられているかと思われます。
「綿球法」の手順は以下の通りです。
① 綿棒、あるいは綿球に液体窒素を含ませて、イボに押し当てる。
② 低温やけどをさせたイボのあった箇所に、翌日には水疱が出来ることもある。
③ イボのあった箇所が黒くなり、数日でカサブタが出来る。
④ 二週間前後でカサブタが自然にはがれて、新しい皮膚が出てくる。
⑤ カサブタのはがれた箇所に再度、液体窒素を押し当てる。

①に戻る

説明を加えますと、①の際、とても強い痛みを感じます。かなりの痛みですので、思わず身体を動かしてしまう方も多いです。液体窒素をイボに押しあてるといっても、その押し当て方はイボのできている大きさや深さにもよって異なるため、人により押し当てられ方も痛みの感覚も様々です。
②の水疱は潰してはいけないとされています。イボがウイルス性の場合には水疱のなかにはウイルスが存在するからです。もし仕事や日常生活に支障のあるほどの大きさの場合には早急に受診をして処置してもらうか、あるいは事前に水疱が大きくできた場合にはどうしたらよいのか主治医に聞いておくとよいかと思います。ほとんどの専門医は「潰さないでそのままにしてください(触らないでください)。水疱は一週間程度でひきますからね」と、教えてくれると思います。しかしながら、仕事で必ず首回りに何か負荷がかかる、という方もいらっしゃるかと思います。ヘルメットをしなければならない方もいらっしゃるかもしれませんし、制服の一環として首回りにスカーフを巻く方等、人により事情は様々です。長きに渡る治療となりますので、水疱ができてから困らないように対処法をあらかじめ聞いて確認しておくことをお勧めいたします。
③、④のあたりでは、カサブタ周辺が痒くなり引っ掻いてしまう方もいらっしゃるようです。引っ掻いてしまうと皮膚の再生がうまくいかず治療が長引くこともあります。また紫外線による影響により患部に色素沈着してしまい、茶色くなる場合もあるため、医師によってはビタミン剤などを処方して予防する場合もあるようです。引っ掻いてしまうことで皮膚の再生が遅くなったり、あるいは過度の擦過によって皮膚が変色してしまうことがあることを覚えておいていただきたいと思います。
⑤では、繰り返しになりますが、イボの種類とその大きさによりこの回数が変わってきます。イボの芯が表層に上がってくるまで、あるいはウイルスが壊滅するまでこの治療は続きます。


3-2 液体窒素による治療の効果について

液体窒素よる治療の効果は、前述の治療のサイクルを5回繰り返して以降、実感する方が多いようです。しかしながら人によっては10数回繰り返す方もいらっしゃいます。また治療を繰り返す過程で、赤みが増したり広がったりする場合もあるそうですので、患部をみていて「これは本当に治るのだろうか、、、?」と、不安な気持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。なかにはこの時点で諦めて、通院を中断してしまう方もいらっしゃいます。通院を中断してしまい、放置している期間が長いと、直近の治療の意味が消失してしまい、いたずらに治療期間を長引かせることにもなります。
主治医師によっては異なるかもしれませんが、通院は前回の治療から、一週間から二週間の間に再診するように言われることが多いと思います。また患部の状態によってはもう少し短い間隔で通院するように言われることもあります。
液体窒素による治療の難しいところは、治療の際の痛みと、治癒までの経過に時間がかかるため治療を中断してしまうことだと思います。
しかしながら、しっかりと通えばきちんと治りますし、中途で治療を自己判断で止めてしまうと再発を繰り返すことになります。
そして液体窒素の治療は保険が適用されるため治癒までの治療費はおさえられます。
しかしながら、レーザー治療とことなり瘢痕が残ることもあります。

首イボや顔まわりのイボの治療は液体窒素による方法はすすめない、という皮膚科専門医が多いようです。
ご自身にとってどの治療法が適しているのかを考えて、皮膚科医や美容外科医にご相談なさることをお勧めいたします。