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癌患者さんに話を聞いた話

癌患者さんに話を聞いて欲しいと言われたので、時間をつくり話をうかがいにいきます。

私は心理士ではないのでカウンセリングは出来ません。

ただ傾聴するのですが、いろいろ気になることが出てきます。

例えば脚のむくみ。

患者さんご本人にとっては

こんなに脚がむくむなんて生まれて初めての経験

です。

でもだからといって、その方に早急になんらかのケアや処置が必要かというと、そうではない。その、程度。
その辺りにいつもモヤモヤするといいます。


そのモヤモヤは

主治医が具体的な処置をしないことにあるのか
加圧ソックスを履いてみてはと主治医に言われたけど気に入らなくて履いてないけど、脚のむくみが治らないことにあるのか
むくむ脚が痛いからなのか
靴が合わないからなのか
などなど…

多分全てに当てはまるのだと思います。

患者さんの感じ方と周囲の人々の感じ方にはギャップがあり、そのギャップは経験者にしかわからない。
経験する前は癌治療中の友人から話を聞いていた内容も、わかっているようでわかっていなかったと、今は分かる。

そこで気持ちが綯交ぜになってしまって、吐き出すところが家庭にも医療機関にもない、と感じるそうです。

がんセンターなど規模の大きな病院ではメンタルケアも行なっています。専門のナースが外来を開いています。リエゾンナースです。

しかしながらシステムはあっても、利用するのを躊躇う人もいます。

Bさんはその一人です。

私のことを、心理士でもないけれど看護師の資格はあってもベースは保健師で、あれこれ言わないし否定も肯定もしないし何でも話して良い都合のいい立場にいる、と捉えているのがBさんです。

Bさんは未だに自分がなぜ癌のステージⅣなのか、納得がいかないといいます。
既に治療は始まっていてそして癌そのものは小さくなってきています。
抗がん剤の副作用により日常生活、活動は以前と変わりました。

仕事は大幅に減らし、家事もパートナーに負担してもらっています。

治療そのものに納得いかないわけではないので、抗がん剤治療は継続しています。

それでもやっぱり
癌のある場所
出来なくなってしまったいろいろなこと
他にもいろいろ
納得いかないことばかりなのです。


納得しようがしまいが進行には関係ないので、残念ながら癌は広がっていきます。


この
どうにもならない感情
が、さらにBさんを苦しめます。

私はこれはすっきり解決することは無理なのだと考えています。
脚のむくみや日常生活の不便さは小さな具体策をコツコツと積み上げて、改善されてきてはいます。

それでもやっぱり
納得いかないことばかりなのです。


私はBさんよりもパートナーの方が気になりました。
毎日同じ
納得いかない
という不満と怒り、恐怖の綯交ぜの感情をぶつけられていたからです。

パートナーの方が疲れきってしまう前に少し介入しました。


Bさんはきっと納得はしないままこれからも生きていくのです。
納得いかないことがあるのは仕方がない。
しかしそのことからくるネガティブな感情に支配されてしまわないように、吐き出す時間と場所が必要なのです。