『Aさんの気持ち』乳がんとともに生きる
以前から書いてきましたが、Aさんのことを書きます。
Aさんは乳癌を切除する手術をして、その後転移予防のために抗がん剤治療をしました。
抗がん剤治療もとりあえず終了となり、少しずつ自分の生活を取り戻しています。
そんな生活の中でAさんは泣きたくなりました。
突然泣きたくなるのです。
癌だと診断されてから、いや健診で疑いがあると言われからずっと、抑えて丸めて仕舞い込んできた想いがブワッと溢れてきたのです。
誰のために辛い治療をしているのか、Aさんは分からなくなるときがありました。
自分だけのためじゃない、家族のため、まだ必要だから、と思うように気を張っていました。
でも本当は何度も投げ出して逃げ出してしまおう、このまま放っておいて欲しい、身体中をいじられるのはうんざりだ、と思うこともありました。
Aさんはこの気持ちを言葉にしてしまったら駄目だと思っていたそうです。
何のために?誰のために?
いっそ殺して。
絞り出すようにAさんはやっと本当の気持ちを言葉にするように、言葉にできるようになりました。